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充電できなくなったモバイルバッテリー、古いスマホやノートパソコン、使わなくなったコードレス掃除機——これらに共通して入っているのがリチウムイオン電池です。やっかいなのは、見た目では危険性が分かりにくいのに、ふつうのごみに混ぜると収集車やごみ処理施設で発火すること。実際、リチウムイオン電池が原因の火災は近年急増しています。この記事では、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池を安全に手放すための正しい回収ルート、膨らんだ電池の扱い、出す前の絶縁まで、自治体や公的機関の情報をもとに整理します。
モバイルバッテリー・リチウムイオン電池は「ごみに出さない」が大前提
最初に押さえておきたいのは、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池は、燃やすごみ・燃えないごみに混ぜて出さないということです。これらの電池は、収集車の中で圧縮されたり、処理施設で破砕されたりした衝撃で発火し、大きな火災につながるおそれがあります。
総務省消防庁によると、リチウムイオン電池が原因とされる火災は2024年に1,100件を超え、そのうち約2割がごみ収集車やごみ処理施設で起きているとされています。環境省の調査では、火災事故がもっとも多く発生している分別区分は「不燃ごみ」で、全体の約7割を占めるという結果も示されています。「金属だから不燃ごみ」と思って出してしまうことが、火災の引き金になっているわけです。
なぜ危険?——衝撃で発火し、見た目で分からない
リチウムイオン電池は、エネルギーを高い密度で蓄えられる便利な電池ですが、その分、強い衝撃や圧迫、過熱に弱いという性質があります。収集や処理の過程で押しつぶされて内部がショートすると、発火・発煙する危険があります。
さらに困るのが、外側からは危険性や分別区分を見分けにくい点です。モバイルバッテリーやハンディファン、電子タバコのように、電池が「製品の中に隠れている」ものも多く、電池が入っていること自体に気づかないまま捨ててしまうケースが少なくありません。だからこそ、「充電して使う製品=リチウムイオン電池が入っているかもしれない」と意識して分別することが大切です。
もう一つ知っておきたいのは、リチウムイオン電池にはコバルトやニッケルなどの有用な資源が含まれていることです。正しく回収に出せば、こうした資源がリサイクルされて再び使われます。安全のためだけでなく、資源を生かすうえでも、専用の回収ルートに出す意味があります。
正しい回収ルート①:JBRCの回収ボックス
もっとも使いやすいのが、JBRC(小型充電式電池のリサイクルを行う団体)の回収ボックスです。家電量販店やホームセンター、公共施設などに設置されていて、対象の小型充電式電池を無料で回収しています。
利用するときは、ショートを防ぐために端子(金属部分)をテープで絶縁してから、ボックスに入れます。モバイルバッテリーやコードレス機器の電池パックなど、対象品にはリサイクルマークが付いていることが多いので、目印にしてください。なお、後述する膨らんだ電池は回収ボックスでは受け付けてもらえないため、別の方法で対応します。
正しい回収ルート②:自治体の回収
自治体でもリチウムイオン電池の回収を行っています。近年は、火災の増加を受けて回収方法を見直す自治体が増えています。
たとえば横浜市では、2025年12月1日から「電池類」という新しい区分での収集が始まりました。モバイルバッテリーや電動自転車のバッテリー、ボタン電池などを、週2回の「燃やすごみ」の収集日に、ほかのごみとは別の袋にまとめて「電池類」として出す方式です。ハンディファンや携帯ゲーム機のように電池が取り外せないものは、さらに別の袋に分けます。出すときは端子をテープで絶縁します。
自治体によって、回収ボックスの設置、拠点回収、収集日の分別など方法はさまざまです。「お住まいの市区町村名+モバイルバッテリー(またはリチウムイオン電池)回収」で検索して、最新のルールを確認してから出しましょう。
モバイルバッテリー以外も同じ——電池が「内蔵」された製品に注意
リチウムイオン電池は、モバイルバッテリーだけでなく、身近な製品の中に広く使われています。次のようなものは、同じように回収ルートで手放します。
- コードレス掃除機・コードレス機器:充電式の本体や電池パック。
- ノートパソコン・タブレット・スマートフォン:内蔵バッテリー。
- 電子タバコ(加熱式・VAPE):小型のリチウムイオン電池入り。
- ハンディファン・電動歯ブラシ・ワイヤレスイヤホン:電池が取り外せない小型家電。
- 電子ライター・小型ガジェット:電子ライター(USB充電式)のように、ごく小さな製品にもリチウムイオン電池が使われています。
電池が本体から外せるものは外して電池だけを回収に出し、外せないものは製品ごと、自治体の指定する出し方(横浜市なら取り外せないもの専用の袋など)に従います。とくにコードレス掃除機の処分やパソコンの処分では、本体の手放し方と内蔵電池の扱いを分けて考えると整理しやすくなります。パソコンはメーカーや回収事業者による回収の仕組みもあるため、あわせて確認しておくと安心です。
容量の大きい電動アシスト自転車のバッテリーやポータブル電源は、モバイルバッテリーよりエネルギー量が大きく、扱いに注意が必要です。多くはメーカーや販売店、自治体の指定する窓口での回収になります。自己判断で分解したり、ふつうのごみに出したりせず、購入元やメーカーの案内に沿って手放してください。
膨張・破損したバッテリーの扱い
使っているうちにパンパンに膨らんだモバイルバッテリーや、落として変形・破損した電池は、とくに発火の危険が高い状態です。次の点に注意してください。
- JBRCの回収ボックスには入れない:膨張・破損した電池は回収ボックスの対象外です。
- 無理に押さえつけたり穴を開けたりしない:刺激を与えると発火・発煙のおそれがあります。
- メーカーや自治体の窓口に相談する:メーカーに回収を依頼するか、自治体の有害ごみ・危険物の相談窓口に出し方を確認します。横浜市では、膨張・破損したリチウムイオン電池やポータブル電源は、各区の資源循環局事務所へ直接持ち込むよう案内しています。
膨らんだ電池を見つけたら、火の気や高温の場所から離し、燃えにくい場所で保管してから相談するのが安全です。
出す前の「端子の絶縁」を忘れずに
回収に出すときに共通して大切なのが、端子(電気の出入り口になる金属部分)をテープで覆って絶縁することです。複数の電池がまとまったときに端子同士が触れ合うと、ショートして発熱・発火するおそれがあるためです。
方法は難しくありません。電池の端子部分に、ビニールテープやセロハンテープを貼って金属が露出しないようにするだけです。モバイルバッテリーのUSB端子も同様に覆っておくと安心です。ひと手間ですが、運搬中や保管中の事故を防ぐ効果があります。
リチウム電池火災の実態と、2026年の制度の動き
リチウムイオン電池による火災は、社会的な問題になっています。前述のとおり、消防庁のまとめでは2024年に1,100件を超え、近年は増加傾向が続いています。環境省の資料では、令和3年度に発生した廃棄物処理施設などでの火災の被害総額は、約96億円から108億円にのぼると示されています。施設が止まれば、地域のごみ処理にも影響が及びます。
こうした状況を受けて、モバイルバッテリーなどの回収を強化する制度の見直しも進められています。2026年に向けて回収の仕組みが整えられる方向にあり、捨て方のルールは今後も変わっていく可能性があります。利用者にとっては、回収できる場所や対象品が広がり、これまでより手放しやすくなることが期待されます。最新の情報は、お住まいの自治体や販売店の案内で確認するのがおすすめです。
モバイルバッテリー・リチウムイオン電池の処分でよくある質問
Q. ボタン電池や乾電池も同じ捨て方ですか?
種類で異なります。乾電池(アルカリ・マンガン)は自治体の区分で出せることが多く、ボタン電池や充電式電池は専用の回収ルートが用意されています。横浜市の「電池類」のように、まとめて回収する自治体も増えています。区分を確認して分けて出してください。
Q. メーカーや型番が分からないモバイルバッテリーはどうすれば?
端子を絶縁したうえで、JBRCの回収ボックスや自治体の回収を利用します。膨張・破損している場合は回収ボックスを使わず、自治体の窓口に相談してください。
Q. スマホやパソコンは、データを消してから出すべきですか?
はい。内蔵バッテリーごと手放す前に、初期化などでデータを消去しておくと安心です。パソコンのデータ消去については、専用の手順を確認して進めてください。
Q. 少し膨らんでいる程度なら回収ボックスに入れていいですか?
膨らみが見られるものは、程度にかかわらず回収ボックスの対象外と考え、メーカーや自治体の窓口に相談するのが安全です。
Q. 近くにJBRCの回収ボックスがありません。どうすればいいですか?
自治体の回収(収集日の分別や拠点回収)を利用します。家電量販店やホームセンターの店頭で回収していることも多いので、買い物のついでに持ち込む方法もあります。お住まいの自治体の案内ページで、回収場所と方法を確認してみてください。
まとめ:ごみに出さず、回収ルートへ。端子の絶縁を忘れずに
モバイルバッテリーやリチウムイオン電池は、便利な反面、扱いを誤ると発火につながる製品です。処分の基本は、燃やすごみ・燃えないごみに出さず、JBRCの回収ボックスや自治体の回収(横浜市の「電池類」など)に出すこと。出す前には端子をテープで絶縁し、膨らんだ・壊れた電池は回収ボックスを使わず、メーカーや自治体の窓口に相談します。コードレス掃除機やノートパソコンなど、電池が内蔵された製品も同じ考え方で手放しましょう。
引っ越しや遺品整理で、充電式の機器や電池がまとめて出てくることもあります。家電や家具と一緒に片づけたいときは、回収サービスの利用も選択肢になりますが、電池そのものは回収ルートに出すのが基本です。安全な手放し方が、思わぬ火災を防ぐ近道になります。
家財をまとめて処分したいときは、こちらも参考にしてください。
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