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引き出しの奥から出てきた使いかけの100円ライター、故人の遺品に混じっていた古いオイルライター、火が着かなくなったチャッカマン——小さいだけに「燃えないごみでいいだろう」と何気なく捨ててしまいがちです。けれど、ガスが残ったライターは、ごみ収集車や処理施設の火災原因の一つとして、多くの自治体が注意を呼びかけています。この記事では、ライターとチャッカマンの安全なガス抜きの手順、種類別の注意点、そして自治体でばらつく分別のルールまでを、自治体の公式案内をもとに整理します。
ライターは「ガスを抜いてから」が大前提
ライターの処分でいちばん大切なのは、中のガスを使い切る・抜いてから出すことです。使い捨てライターやチャッカマンには、可燃性の液化石油ガス(LPガス)が使われていて、中身が残ったまま捨てると、収集や処理の過程で発火・破裂につながります。
実際、船橋市や神戸市、高松市、高槻市など、多くの自治体が「ライターが原因のごみ収集車(パッカー車)の火災」について公式に注意喚起をしています。圧縮されたごみの中で残ったガスに引火すると、収集車だけでなく、近隣の住宅や処理施設、そして作業員や周囲の人の安全にも関わる重大な事故になりかねません。だからこそ、捨てる前のガス抜きが欠かせません。
やっかいなのは、「もう火が着かない」「使い切った」と思ったライターにも、微量のガスが残っていることが多い点です。着火に必要な量のガスがなくなっても、内部にはまだガスが残っていることがあり、これが収集・圧縮の段階で漏れて発火につながります。火が着かないこと=ガスが空、ではないと覚えておくと安全です。
ガス抜きの正しい手順
ガス抜きは、火の気のない屋外の風通しのよい場所で行います。手順は次のとおりです。
- 周囲に火の気がないこと、近くに人がいないことを確認する。
- 着火しないように操作レバー(着火ボタン)を押し下げたまま、輪ゴムや粘着力の強いテープで固定する。
- 「シュー」という音がすれば、ガスが出ているサイン。音が完全に聞こえなくなるまで、風通しのよい屋外に半日から1日ほど放置する。
- 最後に、火の気のない場所で着火操作をして、火が着かなければガス抜き完了です。
近年のライターには、子どものいたずらで着火しにくいよう着火操作を重くしたCR機構(チャイルドレジスタンス)が付いたものがあります。レバーが固いタイプは、輪ゴムやテープで固定してもガスが抜けにくいことがあるため、複数の輪ゴムでしっかり押さえる、時間を長めにとるなど、無理のない範囲で対応してください。
電子式の着火装置が付いたライターは、レバーを固定してもガスがうまく抜けないことがあります。その場合は、ガスの噴出口を確認しながら、無理をせず時間をかけて抜いてください。室内でのガス抜きは、漏れたガスが床付近にたまって引火するおそれがあるため避けましょう。
ライターの種類別の注意点
ひとくちにライターといっても、種類によって中身と捨て方が少し変わります。
使い捨てライター・注入式ガスライター
もっとも一般的なタイプで、前述のガス抜きをしてから処分します。注入式(ガスを補充して繰り返し使うタイプ)も、中のガスを抜く点は同じです。
オイルライター
ジッポーなどのオイルライターは、ガスではなくオイル(揮発性の液体燃料)を使います。中綿に染み込んだオイルを使い切るか、しっかり揮発させてから処分します。本体は金属製なので、自治体によっては金属類として扱われます。
電子ライター(USB充電式)
プラズマ式・電熱式の電子ライターは、ガスを使わないかわりにリチウムイオン電池を内蔵しています。電池入りのまま捨てると発火のおそれがあるため、自治体の小型充電式電池の回収ルールに沿って出します。電池が外せない場合は、回収協力店や自治体の窓口に相談してください。
電子ライターやコードレス機器に使われるリチウムイオン電池は、ごみに出すと発火の危険があります。モバイルバッテリー・リチウムイオン電池の捨て方もあわせてご覧ください。
チャッカマン(点火棒・ライター)
柄が長い分、ガスの量が多めです。着火ボタンを固定する方法は同じですが、ガスが抜けきるまで時間がかかることがあるので、音がしなくなるまでしっかり確認します。
何ごみで出す?——自治体で真逆に分かれる
ライターは、分別区分が自治体によって大きく分かれるめずらしい品目です。同じ「ガス抜き済みのライター」でも、出す区分が市によって異なります。
- 燃えるごみ:横浜市は、オイルを使い終わったうえで燃えるごみに出すよう案内しています。
- 有害ごみ・危険ごみ:千葉市など、電池やスプレー缶と同じ「有害ごみ」として扱う自治体。
- 燃えないごみ・不燃ごみ:横須賀市など、金属を含む小物として不燃ごみに出す自治体。
このように、ライターは「燃えるごみ」「有害ごみ」「不燃ごみ」「金属」など、ほぼすべての区分に振り分けられている例外的な品目です。さらに、収集車火災の増加を受けて分別ルールが見直されることも多く、以前のやり方が今は変わっていることもあります。「ライター」で自分の市区町村のごみ分別ページを調べ、最新の区分とガス抜きの要否を確認してから出しましょう。
使い切れない・着火しないライターの対処
「着火しないのにガスは残っている」「古くて操作できない」というライターも少なくありません。ガスが残ったまま捨てるのは危険なので、次のように対応します。
- 時間をかけてガスを抜く:着火しなくても、レバーを固定して放置すればガスは少しずつ抜けます。屋外で半日〜1日かけて抜くのが基本です。
- 自治体の回収・相談窓口を使う:どうしても抜けない場合は、自治体のごみ相談窓口に出し方を確認します。専用の回収を設けている自治体もあります。
- 大量にあるときは業者に相談:遺品整理などで大量に出たときは、危険物の取り扱いに対応した回収業者に相談する方法もあります。
地域によっては、自治体やイベントでガス抜き済みライターの拠点回収を行っていることがあります。住んでいる市区町村でこうした回収の機会がないかも、あわせて確認してみてください。
やってはいけない捨て方
火災事故の多くは、ちょっとした油断から起きています。次のような捨て方は避けてください。
- ガスが残ったまま可燃ごみに混ぜる:収集車の中で圧縮され、引火・発火につながる典型的なパターンです。
- 室内や換気の悪い場所でガス抜きをする:漏れたガスが床付近にたまり、コンロや給湯器の火に引火するおそれがあります。
- 大量のライターを一度にまとめてガス抜きする:周囲のガス濃度が高まって危険です。数本ずつ、屋外で行いましょう。
- 電子ライターを電池入りのまま不燃ごみへ:リチウムイオン電池が押しつぶされて発火するおそれがあります。
ガスが残った状態のライターを、夏の車内や暖房器具のそばなど高温になる場所に置くのも避けてください。内圧が上がって破裂することがあります。
収集車・処理施設の火災と、その影響
ライターやスプレー缶などが原因のごみ収集車・処理施設の火災は、各地で繰り返し起きています。自治体が広報やホームページで繰り返し注意を呼びかけているのは、それだけ件数が多く、被害も大きいからです。
火災が起きると、収集車やごみ処理施設が損傷してごみ収集が止まることもあり、地域全体に影響が及びます。なにより、収集作業員や周囲の人がやけどや大けがを負う危険があります。家庭での「ひと手間」のガス抜きが、こうした事故を防ぐ大きな一歩になります。
ごみ収集車の火災は、スプレー缶やカセットボンベ、小型充電式電池と並んで、ライターが主な原因の一つとされています。自治体によっては毎年のように発生状況を公表して注意を促しており、家庭から出る小さな製品が、地域のごみ処理を止めかねないリスクになっていることが分かります。
大量に出たとき・遺品整理や引っ越しでまとめて出るとき
喫煙者の片づけや遺品整理では、ライターが何十本もまとめて出てくることがあります。量が多いときほど、次の順番で進めると安全です。
- 1本ずつガスが残っているかを確認し、屋外で数本ずつガスを抜く(一度に大量はしない)。
- 使い捨て・オイル・電子(充電式)など種類ごとに分ける。
- 自治体の区分に沿って、指定の袋・出し方でまとめる。
遺品整理や引っ越しでは、ライターのほかにも「ごみに出せない危険物」が一緒に出ることがよくあります。スプレー缶・カセットボンベの捨て方や、灯油・ポリタンクの処分方法、消火器の処分方法もあわせて確認しておくと、片づけ当日に慌てずに済みます。家電や家具とまとめて手放したいときは、回収サービスの利用も選択肢になります。
ライター・チャッカマンの処分でよくある質問
Q. 電子ライター(USB充電式)はライターと同じ捨て方ですか?
いいえ。電子ライターはガスではなくリチウムイオン電池を内蔵しているため、小型充電式電池の回収ルールに沿って出します。電池が外せない場合は回収協力店や自治体の窓口に相談してください。
Q. オイルライターの中のオイルはどうすればいいですか?
使い切るか、しっかり揮発させてから処分します。オイルを排水溝や土に流すのは避けてください。本体は金属類として扱う自治体が多いです。
Q. 100円ライターが大量にあります。まとめて捨てられますか?
数本ずつ屋外でガスを抜いてから、種類ごとに分け、自治体の区分でまとめて出します。一度に大量のガスを抜くのは避けてください。
Q. チャッカマンのガスが抜けているか分かりません。
火の気のない屋外で着火操作をして、火が着かなければガスは抜けています。シューという音が残っているうちは、まだガスがあるサインです。
Q. ガス抜きに使う輪ゴムやテープは何でもいいですか?
着火レバーをしっかり押し下げた状態で固定できれば、輪ゴムでも粘着力の強いテープでも構いません。途中で外れるとガスが止まってしまうので、複数本でしっかり留めて、抜けきるまで放置するのがコツです。
まとめ:ガス抜き→自治体ルールに沿って分別、が安全の近道
ライターとチャッカマンは、小さくても可燃性ガスを含む身近な危険物です。処分の基本は、火の気のない屋外でガスを抜く→自治体の区分(燃える・有害・不燃など)に沿って出すこと。区分は自治体でばらつくため、出す前に最新ルールを確認しておくと安心です。電子ライターは電池の扱いに注意し、オイルライターはオイルを使い切ってから処分します。
遺品整理や引っ越しで危険物がまとめて出るときは、スプレー缶や灯油などと一緒に、片づけの早い段階で処理しておくと当日がスムーズです。家財をまとめて手放したいときは、回収サービスを利用するのも一つの方法です。
家財をまとめて処分したいときは、こちらも参考にしてください。
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